東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1048号 判決
職権をもつて調査するに、原判決正本が控訴人の第一審訴訟代理人である大城朝申弁護士宛に、昭和二十七年六月九日東京都千代田区霞ケ関第二東京弁護士会事務所に送達せられ、事務員渡辺長松が受領したことは、本件記録中の送達証書(記録六〇丁)によつて明かである。
当裁判所の審訊に対し、控訴人は昭和二十七年七月三十一日付の書面をもつて「控訴人の第一審訴訟代理人が、原判決正本の送達を受けたのは、昭和二十七年六月十二日であるから、控訴人の提出した控訴状は、控訴期間内に提出せられたものである。もしも同年六月九日に原判決正本が、第一審訴訟代理人の所属する第二東京弁護士会事務所に送達せられたものとしても、控訴人は旅行先から帰つて、同年六月十四日に原判決正本を受取り、同年六月二十四日に控訴状を提出したものであるから、わずか一日だけ控訴期間を経過しただけで、しかもそれは控訴人の責に帰すことのできない事由にもとずくものであるから、追完を許さるべきものである」と主張する。
然れども、控訴人の第一審訴訟代理人である大城朝申弁護士が、第二東京弁護士会に所属する弁護士であつて、右弁護士会の事務所が東京都千代田区霞ケ関に在ることは、当裁判所に顕著な事実というべく、しかも本件記録によれば、原審における昭和二十七年二月二十一日午前十時の口頭弁論期日呼出状も、原判決正本と同様東京都千代田区霞ケ関第二東京弁護士会事務所に送達せられ、事務員渡辺長松が受領したのに対し、その後において異議を述べていないことが明かであるから、右渡辺長松は民事訴訟法第一七一条にいわゆる送達を受くべき場所における受送達者の事務員として、原判決正本の交付を受けたものと認めざるを得ない。
ところが本件控訴状が当裁判所に提出せられたのは、昭和二十七年六月二十四日なること、本件記録中の控訴状(記録六三丁)に押されている受付印に徴し、明白であるから、本件控訴は二週間の控訴期間経過後に提起せられた不適法な控訴状であつて、しかもその欠缺は、控訴人の主張するような事由によつては、追完を許すべきでないから、民事訴訟法第三八三条に従い、口頭弁論を経ることなく、本件控訴を却下することとし、訴訟費用の負担について、民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 浜田潔夫 河合清六 仁井田秀穂)